Perl

最終更新日: 2024.01.26 (公開: 2023.05.22)

Perlとはどんな言語?特徴やできること、Rubyとの違いを解説

Perlとはどんな言語?特徴やできること、Rubyとの違いを解説

Perlは数あるプログラミング言語の中でも長い歴史を持つ言語です。しかし、PythonやRubyと比較すると仕事の需要は少ない傾向があります。本記事では、Perlの概要や特徴、PythonやRubyとの違いを解説します。

Perlは、数あるプログラミング言語の中でも長い歴史があります。開発現場でも多く採用されている言語ですが、PythonやRubyといった後発で人気のある言語に押され、需要が少なくなっているのも事実です。

本記事では、Perlの概要や特徴、PythonやRubyとの違いを解説します。

Perlとはどんな言語?

Perlとはどんな言語?

「Perl」は、1987年に開発された30年以上の歴史を持つプログラミング言語です。マルチプラットフォームに対応しているため、「Windows」や「macOS」「Linux」など、OSを問わずどの環境でも動かせます。

使いやすい言語のため開発当初から人気が高く、現在でも使われ続けている言語です。

主にWeb開発の現場で使われることが多く、WebサービスやWebアプリケーションの開発など基盤システムやIoTのシステム開発もできます。

ほかの主要な言語と同様に「Perl」にもフレームワークがあるため、フレームワークの利用で効率的なWeb開発が可能です。

Perlにはどんな特徴があるの?

Perlにはどんな特徴があるの?

「Perl」の主な特徴は、以下の5つです。

  • テキスト処理能力が高い
  • コードが読みやすい
  • コンパイルがいらない
  • 高い後方互換性がある
  • CPANモジュールが豊富にある

ここからは、「Peal」の特徴を詳しく解説します。

テキスト処理能力が高い

「Perl」はスクリプト言語なので、テキスト処理能力が高いです。正規表現が言語に組み込まれていることで、検索や置換が得意という点がテキスト処理能力の高さの要因となります。

また、「Perl」には文字列と数値を自動的に変換する機能もあるため、データ型を意識しないコーディングができます。

型を意識する必要がないため、プログラミング初心者でも学習しやすい点が特徴です。

コードが読みやすい

「Perl」は汎用スクリプト言語であるため、コードがシンプルでわかりやすい特徴があります。

コードが読みやすいという特徴は、「Perl」の使いやすさにも直結しており、全体的に記述がシンプルなため、初心者でも読みやすいコード作成が可能です。

別のエンジニアが見ても理解がしやすいため、複数人で共同開発をする現場にも重宝されます。

後からコードを見直した際にも確認しやすいため、記述ミスに気づきやすい点もメリットです。

コンパイルがいらない

コンパイルとは、人間が読める言語をコンピュータに読み込ませるための言語(機械語)へ変換することです。「Perl」は、コードを記述するたびに自動で変換してくれるため、コンパイルが必要ありません。

コンパイルが不要なプログラミング言語は「インタプリタ型言語」と呼ばれ、実行確認が簡単にでき効率的に開発できます。

高い後方互換性がある

「Perl」は後方互換性が高く、最新バージョンにアップデートしても古いバージョンのコードを扱えます。新しいバージョンへの移行もスムーズで、開発途中でアップデートしても以前のプログラムが壊れることがないため、非常に扱いやすいです。

もし後方互換性がなかった場合、アップデートしたことが原因で、プログラムを大幅に修正する必要があるケースがあります。人気の言語の中には、後方互換性を備えていないものも少なくありません。そのため、開発に際して採用するプログラミング言語を選ぶときは、言語のバージョンアップへの対応も検討する必要があります。たとえば「Python」は「Python2」と「Python3」に互換性がないため、後方互換性がある点は「Perl」で開発をおこなう大きなメリットです。

CPANモジュールが豊富にある

CPANモジュールとは、「Perl」で書かれた数多くのプログラムを収めたアーカイブのことです。再利用性や汎用性の高いモジュールやドキュメントが多く登録されています。

CPANモジュールはコードを自由に組み込めるため、豊富なCPANモジュールを活用し効率的な開発ができます。

インストール方法や形式が統一化されているため、管理しやすく使いやすい点もメリットです。

Perlでは何ができる?

Perlでは何ができる?

「Perl」は汎用性が高く使いやすい言語のため、現在でもさまざまな開発現場で使われています。

Perlで開発できるものは主に以下の4つです。

  • Webサービス
  • 基盤システム
  • IoT
  • ゲーム

それぞれ詳しく解説します。

Webサービスを開発できる

Webサービスの開発は「Perl」の得意分野です。SNSといったWebアプリケーションはもちろんのこと、動画配信サイトやECサイトといったWebサービスも開発できます。

Webサービスの開発において「Ruby」や「Python」が主流になっていますが、主流になる前はWebサービス開発といえば「Perl」が一般的でした。

「Perl」はラジオ放送などのネットサービスの開発もでき、処理の速さやコンパイル不要の効率性から多くの開発者に使われています。また、「PHP」や「Java」など、ほかの言語と一緒に使用されることもあります。

基盤システムを開発できる

「Perl」は、OSに依存せず動作できるため、顧客管理システムや生産管理システムなど、業務に関連したさまざまなシステムの開発が可能です。

ただし、「Perl」はオブジェクト指向ではないため、大規模なシステムの開発にはあまり向いていません。

オブジェクト指向とは、「特定の役割を持つ要素」それぞれに対してクラス(プログラム全体の構造を示す設計図)を作成し、各要素間の相互作用を定義することでシステムを構築する考え方です。

たとえば、車をオブジェクトで表現する場合、車の色やブランドなどの情報が特定の役割を持つ要素データとなり、「走る」や「止まる」といった動作がクラスメソッドという扱いになります。クラスは、再利用できることからコードが再利用できるといったメリットがあります。

IoTを開発できる

「Perl」はIoTも開発可能です。IoTは「Internet of Things」の略で、家電製品を動かすためのプログラムを指します。

ただしIoTの開発は、「Python」や「Java」でおこなうのが一般的です。「Perl」のみでもIoTの開発は可能ですが、基本的には、ほかの言語と併用して使われることがほとんどです。

ゲームを開発できる

「Perl」はゲームも開発できます。とくにソーシャルゲームの開発に用いられることが多く、会員登録やログインなど、サーバーサイドの分野の開発が可能です。

しかし、家庭用ゲームの開発では使われることはあまりないため、ゲーム開発だけに目を向けた際には「Perl」は汎用性が低くなります。

Perlを使うのであればフレームワークの導入がおすすめ

Perlを使うのであればフレームワークの導入がおすすめ

「Perl」を使ってシステムやゲームを開発する際は、フレームワークの導入をおすすめします。フレームワークとは、アプリケーションやソフトウェアの実装に必要な定型コードなどをライブラリ化したものです。

システム開発における土台のような役割で、フレームワークを導入すれば記述する業務の大幅な短縮ができます。

コードの統一性も図れるため、フレームワークはチームで開発する際にも重宝されます。コーディングはエンジニアごとに差が生まれやすいですが、コードが統一されることでエンジニアごとのコーディングの違いがなくなり、効率よく作業を進めることが可能です。

フレームワークを利用すれば自身で記述する箇所が少なくなるため、バグやエラーの発生を軽減できます。

PerlとPythonやRubyとの違いは?

PerlとPythonやRubyとの違いは?

Webサービス以外にもさまざまな開発ができる「Perl」ですが、人気では「Python」や「Ruby」にはおよびません。それでは「Perl」と「Python」や「Ruby」には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

「Perl」と「Python」や「Ruby」との違いは主に2つです。

  • 構文の量が違う
  • コードの記述の長さが違う

それぞれ詳しく解説します。

構文の量が違う

「Perl」と「Python」、「Ruby」では構文の量に違いがあります。「Python」はオープンソースで開発されました。誰でも無料で利用できるのがオープンソースの特徴で、オープンソース言語は書きやすさや読みやすさを重視したものが多いです。

また、「Python」や「Ruby」は、短く簡単にコードを書くことが可能です。ただ、それぞれの言語によって得意分野が異なるため、コードの量のみで学習する言語を決めるのではなく、言語の特徴や市場のニーズを理解することが求められます。

たとえば、「リスト内の数値を合計する」処理を書いたときのPerlとPythonの違いは、以下の通りです。

<Perl>

  #!/usr/bin/perl
  use strict;
  use warnings;
  
  my @numbers = (1, 2, 3, 4, 5);
  my $sum = 0;
  
  foreach my $number (@numbers) {
      $sum += $number;
  }
  
  print "合計: $sum\n";

<Python>

  numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
  sum = 0
  
  for number in numbers:
      sum += number
  
  print("合計:", sum)

<Ruby>

  numbers = [1, 2, 3, 4, 5]
  sum = 0
  
  numbers.each do |number|
    sum += number
  end
  
  puts "合計: #{sum}"

同じ処理を記述したときPerlは9行、Pythonは5行、Rubyは6行です。構文の量では、「Python」に効率面のメリットがあります。

コードの記述の長さが違う

「Ruby」は他の言語よりも全体的に記述が短いです。「Perl」や「C言語」などは記述が長くなってしまうことがありますが、「Ruby」は同様の処理を短い記述でできます。

たとえば、「5回繰り返し処理をおこない、繰り返し回数を出力する」処理を書いたときのコードの例が、以下の通りです。

<Perl>

  #!/usr/bin/perl
  use strict;
  use warnings;
  
  for (my $i = 1; $i <= 5; $i++) {
      print "繰り返し回数: $i\n";
  }
  
  print "合計: $sum\n";

<C言語>

  #include 
  
  int main() {
      for (int i = 1; i <= 5; i++) {
          printf("繰り返し回数: %d\n", i);
      }
      return 0;
  }

<Ruby>

  5.times do |i|
    puts "繰り返し回数: #{i + 1}"
  end

異なる3つのプログラミング言語で、同様の処理を記述しました。PerlやC言語は冗長なコードですが、Rubyは非常に完結でわかりやすいコードです。

「Perl」が7行であるのに対し、Rubyは3行で半分以下の行数であることがわかります。
日本語の情報が豊富な点は「Ruby」のメリットであり、プログラミング学習がしやすくなるためプログラミング学習の初心者には大きなメリットといえるでしょう。

Perlに将来性はある?

Perlに将来性はある?

現在では主流な言語とは言いがたい「Perl」ですが、「Perl」に将来性はあるのでしょうか。かつては人気が高かった「Perl」ですが、他の言語が台頭したことでWebサービスやシステム開発の現場では「Ruby」や「Python」などが多く使われるようになりました。

したがって、「Perl」を使った新規開発の案件は減っているのが現状です。性能の低い言語ではありませんが、より使いやすい言語が台頭しています。

しかし、「Perl」の需要が完全になくなることは考えにくいです。「Perl」で開発されたシステムは現在でも数多くあり、既存システムの運用・保守は基本的に「Perl」でおこなうためです。

Perlの代わりになるプログラミング言語

Perlの代わりになるプログラミング言語

Perlの代わりに使われることが多い言語は主に以下の4つです。

  • Ruby
  • Python
  • PHP
  • JavaScript

いずれの言語も人気が高く、多くの開発場面で使用されているため習得をおすすめします。それぞれの言語について、詳しく解説します。

Ruby

「Ruby」は、主にWebアプリケーションの開発で使用される言語です。「Ruby」には「Ruby on Rails」という欠かせないフレームワークがあり、「Ruby on Rails」の利用で効率的な開発ができます。

また、「Ruby」は日本人が開発したプログラミング言語であるため、日本語の情報が多い点も大きな特徴です。
言語を学びやすい環境が整っているため、これからプログラミングを学ぼうと考えている方におすすめの言語といえます。

Python

「Python」は、AI開発の現場で使用されることが多い言語です。AI技術が発展したことで、人工知能や機械学習が注目されるようになり「Python」の人気も高まっています。

文法が簡潔な「Python」は、誰でも書きやすく読みやすいのが特徴です。また、人気が高まっているため、今後の需要も高く、プログラミング学習の初心者にもおすすめの言語といえるでしょう。

人工知能や機械学習の分野は今後も発展していくことが予想されるため、将来性にも期待できます。

PHP

「PHP」はWebサイトの開発で使用されることが多い言語です。多くのWebサイトは「PHP」や「JavaScript」「HTML」で開発されているため、Webサイトの開発に携わりたい方はぜひ習得しておきたい言語です。

「PHP」には独自の強みを持つフレームワークが多くあります。

また、「PHP」は「MySQL」などのデータベース言語との組み合わせが可能です。データベース言語と組み合わせることで顧客管理システムを開発できるため、ECサイトの開発で採用されることがあります。

JavaScript

「JavaScript」は、「PHP」と同じくWebサイトの開発で使われることが多い言語です。とくにWebサイトのスライダーやボタンクリックによる動作などを実装する際に使われます。

サーバーサイドとフロントサイドの両方で使われるため、汎用性が高い点も魅力です。サーバーサイドとフロントエンドの両方の資質を持っている言語は少ないため、「JavaScript」を習得すればより多くの案件を獲得できます。

「JavaScript」はWebサイトだけでなくWebアプリケーションの開発にも使われているため、Webサービスを開発したい方におすすめの言語です。

Perlは今も活躍している言語!

Perlは今も活躍している言語!

本記事では、「Perl」の概要や特徴、「Python」や「Ruby」との違いを解説しました。「Perl」は「Python」や「Ruby」の台頭で以前よりは需要が低くなりましたが、今でも活躍している言語です。

「Perl」で開発されたシステムがある限り、システムの運用や保守の場面で「Perl」を扱えるエンジニアの需要はあります。

ただし「Perl」だけでは案件数が多いとは言えないため、本記事で紹介した言語の習得をおすすめします。

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