PHP

最終更新日: 2024.06.17 (公開: 2023.06.27)

PHPとは?基本知識やできること、メリット・デメリットを解説

PHPとは?基本知識やできること、メリット・デメリットを解説

プログラミング言語の中でも、高い人気とニーズがあるPHPの特徴や、PHPでできることのほか、PHPを使うメリットやデメリットについて解説します。

PHPは、WebアプリケーションやWordPressなどのCMSで使われるプログラミング言語です。数多くのプログラミング言語の中でも、高い人気とニーズがあります。
そこで今回は、これからPHPを学習しようとしている方や、PHPをもっと知りたい方に向けて、PHPの基本情報やできること、メリット・デメリットを解説します。

PHPとはどんな言語?

PHPとはどんな言語?

「PHP」は、Webアプリケーションの開発に適したプログラミング言語の1つです。WebページやWebサービスの多くで「PHP」は使用されています。

たとえば、ブログやWebサイトを開設する「WordPress」や、インターネット百科事典の「Wikipedia」などが「PHP」で構築されています。「PHP」は、文法がシンプルで覚えやすいため、プログラミング初心者でも習得しやすい言語です。

「PHP」のアプリケーションやシステム開発の需要も高く、エンジニアにとっても覚えやすいことから、今後も人気やニーズは高くなっていくことが予想されます。

PHPとJavaScriptに違いはあるの?

「PHP」や「JavaScript」は、シンプルな記述でプログラミングがおこなえるスクリプト言語です。

しかし、「PHP」がサーバーサイドの中で動くのに対して、「JavaScript」はクライアントサイドで動くという違いがあります。クライアントサイドの中で動く「JavaScript」は、ブラウザからどのようなプログラムで動いているのかを誰でも確認することが可能です。

対して、サーバーサイドの中で動いている「PHP」は、外部からプログラムの動作を確認できませんが、実効速度が速く使いやすいというメリットがあります。

PHPとHTMLって何が違うの?

「HTML」は、Webサイトの構築に不可欠な言語で、静的なWebサイトを構築できます。また、「HTML」はプログラミング言語ではなく、文章の構造化や装飾などを記述するための言語とされており、「マークアップ言語」と呼ばれます。

そのため、「PHP」はWebサイト作成以外にもさまざまな用途で使われますが、「HTML」は基本的にWebサイト作成以外では用いられません。

ほかにも、「PHP」は動的なWebサイトが作成できるのに対して、「HTML」は静的なWebサイトの作成が得意という違いもあります。

PHPでは何ができるの?

PHPでは何ができるの?

多くのWebサービスの開発がおこなえる「PHP」でできることは、主に以下の6つです。

  • データベースとの連携
  • CMSの作成・カスタマイズ
  • お問い合わせフォームの作成
  • グループウェアシステムの作成
  • ECサイトの制作
  • SNSなどのWebアプリケーションの作成

それぞれ解説します。

データベースとの連携

「PHP」は、データベース管理システムと連携できます。データベースとは、サーバー内に情報を格納し、登録や検索、整理を行うデータの集合体です。そのため、「PHP」を利用することで、データベースにアクセスしてデータの保存、削除、操作が可能になります。その結果、Webサービスにアクセスしたユーザーの行動に合わせてデータを表示させることが可能です。

たとえば、ユーザー登録、ログイン、コメント投稿、お問い合わせフォーム、商品購入などがあります。これらの機能は、データベースを利用することで実現することが可能です。ユーザーが登録した情報をデータベースに保存し、ログイン時に情報を取得して認証を行ったり、コメントや問い合わせの内容をデータベースに保存して表示したり、商品の在庫数をデータベースで管理して購入時に減らしたりできます。

CMSを作成・カスタマイズ

「PHP」は、Webサイトを簡単に構築できるCMSを作成・カスタマイズできます。CMSの作成には「PHP」が使われており、機能や外観を追加するカスタマイズなども「PHP」でおこなわれます。

「PHP」を扱えれば、自分好みのWebサイト作成やCMS制作に関する仕事ができ、テンプレートを作成して販売することも可能です。

お問い合わせフォームの作成

ほとんどのWebサイトに設置されているお問い合わせフォームは「PHP」で作成できます。「PHP」を使うことで、ユーザーがお問い合わせフォームで入力した情報に応じて適切なページを表示させることが可能です。

たとえばお問い合わせの種類が「種類1」「種類2」「種類3」のいずれかに応じて、それぞれ異なるページを表示させるとき、PHPのコードの例は、以下のようになります。まず以下の、ユーザーが入力するHTML部分を作成します。

<form action="process.php" method="post">
   <label for="contact_type">お問い合わせ種別:</label>
   <select name="contact_type" id="contact_type">
        <option value="type1">種類1</option>
        <option value="type2">種類2</option>
        <option value="type3">種類3</option>
   </select>
   <!-- 他の入力項目を追加 -->
   <input type="submit" value="送信">
</form>

次に、送信ボタンが押されたときに実行される「process.php」を作成し、お問い合わせの種類に応じて適切なページにリダイレクトする処理を記述します。

<?php
$contact_type = $_POST['contact_type'];
switch ($contact_type) {
   case 'type1':
        header('Location: page_type1.php');
        break;
   case 'type2':
        header('Location: page_type2.php');
        break;
   case 'type3':
        header('Location: page_type3.php');
        break;
   default:
        header('Location: error_page.php');
}
?>

この例では、お問い合わせの種類が「種類1」「種類2」「種類3」のいずれかに応じて、それぞれ「page_type1.php」「page_type2.php」「page_type3.php」にリダイレクトされます。もし種類が一致しない場合は、エラーページ(error_page.php)にリダイレクトされる仕組みです。ほとんどのお問い合わせフォームは「PHP」を使って作成されており、作り方やコードが無料公開されていることも多いため、プログラミング初心者でも簡単に作成できるでしょう。

グループウェアシステムの作成

複数人でスケジュールやタスクなどの各種情報を共有・管理するグループウェアシステムも、「PHP」で開発されていることがあります。「PHP」を使うことで、カレンダーの表示や日付ごとの情報登録、予定の追加・削除、タイムカード機能やタスク管理などを実装することが可能です。

上記のような、グループウェアシステムで企業が必要とする機能のほとんどは、「PHP」で作成できます。
そのため、「PHP」のスキルや知識を身につけることで、企業独自のグループウェアシステムの開発にも携われるでしょう。

ECサイトの制作

日々利用しているECサイトも「PHP」を使って制作できます。「PHP」では、会員情報の登録・削除・更新やオンライン決済、在庫・売上管理、商品購入や予約などのショッピング機能が実装でき、セキュリティ対策も可能です。

そのため、「PHP」はECサイトの制作には欠かせないプログラミング言語の1つといわれています。

SNSなどのWebアプリケーションの作成

「Instagram」や「Twitter」などの「SNS」、「YouTube」や「Slack」などのWebアプリケーションの作成にも「PHP」が使われています。

「PHP」は、ログイン機能やコンテンツの投稿機能、フォロー機能やチャット機能などを実装できるため、「SNS」やWebアプリケーションの作成にも適したプログラミング言語です。
このように「PHP」は多くのサービスで使われており、学習することでさまざまな開発に参画できるようになります。

PHPのメリットとは?

PHPのメリットとは?

世界中で利用されているWebサービスのほとんどの開発に使われている「PHP」には、さまざまなメリットがあります。その中でも代表的なメリットは、主に以下の4つです。

  • 環境構築が簡単にできる
  • コードの記述がわかりやすい
  • 学習・実装しやすい
  • 案件の数が多い

それぞれ解説します。

環境構築が簡単にできる

「PHP」は、環境構築が簡単にできます。「PHP」にはOSの制限がないため、WindowsやMacに標準搭載されている「メモ帳」や「テキストエディタ」からでも、気軽に開発が可能です。

「XAMPP」といった仮想環境サーバーでも簡単に開発環境を構築でき、実行環境を構築するオンライン実行環境サービスも豊富にあります。さらに、「PHP」に対応したレンタルサーバーも多く、サーバー費用を抑えやすいため、環境構築やサーバーのコストなどを最小限に抑えられるでしょう。

そのため、プログラミング初心者でも、「PHP」の学習や開発は始めやすいといえます。

コードの記述がわかりやすい

「PHP」は、「C言語」や「JavaScript」と同じスクリプト言語であるため、プログラミング言語の中でも比較的コードの記述がわかりやすくシンプルです。

また、「変数の型を意識しなくてもいい」「配列の定義が自由」など制約が少なく、厳格な記述が求められることも少ないため、プログラミング初心者でも覚えやすい言語といえるでしょう。そのため、これからプログラミングを始める方は、「PHP」の学習をプログラミング学習の入り口にすることをおすすめします。

学習・実践しやすい

「PHP」は、学習や実践がしやすいプログラミング言語です。

世界中で人気が高くニーズがある言語であるため、多くのWebサービスで活用されています。そのため、「PHP」の学習情報や書籍、サイトなども種類が豊富です。

日本語の教材も多く、わからない部分があってもすぐに調べられるため、実践しながら学習できます。

案件の数が多い

「PHP」は、開発現場からの人気とニーズが高いことから、案件数が多いため、「PHPエンジニア」はさまざまな仕事を受注できます。また、「PHP」はCMSなどでも使われていることから、日常的に目にする機会が多い言語です。

制作会社などでも使用する機会が多いため、「PHP」を習得することで仕事の獲得につながりやすくなるでしょう。

PHPのデメリットとは?

PHPのデメリットとは?

「PHP」にはさまざまなメリットがあり、世界中で人気のあるプログラミング言語です。一方で以下のようなデメリットもあります。

  • セキュリティが少し甘い
  • Webサービス以外の開発には使いにくい
  • バグを見過ごしやすい

ここからは、主なデメリットの3つをそれぞれ解説します。

セキュリティが少し甘い

「PHP」はセキュリティが少し甘く、「PHP」だけで構築されたWebサービスは不正アクセスされてしまうことがあります。セキュリティや機能更新のために、「PHP」は頻繁にアップデートされていますが、状況次第ではセキュリティ対策が不十分になってしまうこともあるでしょう。

また、「PHP」のセキュリティに甘さがあることは、すでに多くのユーザーが認識しているため、不正アクセスやハッキングの対象になりやすいのが現状です。そのため、「PHP」を扱う場合は、セキュリティ対策を意識して記述をおこなう必要があります。

Webサービス以外の開発には使いにくい

「PHP」は、世界中のWebサービスの開発で利用されていますが、Webサービス開発以外には不向きとされることがあります。その理由は、PHPがHTMLに直接プログラムを埋め込むことができるため、コードが読みにくく保守しづらくなる可能性があり、デスクトップアプリケーションやモバイルアプリケーションなどの開発には不便な点があるためです。また、PHPは動的型付け言語(プログラム実行時に変数の型が確定する言語)であるため、大規模なプロジェクトやチーム開発ではバグやエラーが発生しやすく、品質管理やテストが難しい点も不向きとされる理由になります。

そのため、スマートフォンアプリの作成などWebサービス開発以外の分野に携わりたい場合は、「PHP」は向いていないといえるでしょう。

Webサービス以外の分野の開発をおこなう場合は、「JavaScript」「Swift」「Java」などのプログラミング言語の習得がおすすめです。

バグを見過ごしやすい

バグを見過ごしやすい点も「PHP」のデメリットです。「PHP」は制約が少なく、自由度の高いプログラミング言語のため、同じ処理をおこなう場合でもエンジニアによってはまったく違う記述になってしまうことがあります。

まったく違う記述でも同じ処理ができるため、バグがあった場合にも気づかず、セキュリティに大きな問題が生じるリスクがあります。そのため、チームでの開発や大規模なプロジェクトで「PHP」を活用する場合には、共通したコーディングルールを決めておくなどの対策が必要です。

基本的なPHPの書き方

基本的なPHPの書き方

基本的な「PHP」の書き方を知るには、以下のことを知っておく必要があります。

  • 基本的な文法
  • if文
  • for文
  • 関数

4つの内容を理解しておくことで、「PHP」を効果的に扱えます。ここでは、基本的な「PHP」の書き方を解説します。

基本的な文法を知ろう

「PHP」の基本的な文法は、以下のタグ内にコードを記述するルールです。

<?PHPxxxxxxxx(PHPのコード)?>

命令コードの最後には、「;」を付けます。

「PHP」で「Hello World」という表示をさせるための記述例は、以下のとおりです。

<html>
     <head>
    <title>基本的なPHPの書き方</title>
     </head>
     <body>
    <?php
          echo "Hello World";
    ?>
      </body>
</html>

Hello Worldの前にある「echo」は、文字列を出力するときに使用する単語です。また、「PHP」ファイルを保存するときは、ファイル名の拡張子を「.php」とします。

if文を書いてみよう

if文とは、「もし~したら~する」といった条件分岐を作るときに使われる文法です。if文において条件が一致することを「真実(TRUE)」、一致しないことを「偽(FALSE)」といいます。

基本的なif文の記述例は、以下の通りです。

<?php
   if(もし~したら){
   //~したユーザーに~する
   }
?>

以下は変数「$num」が5よりも大きいかどうかを判定するif文の記述です。

<?php
   $num = 10;
   if ($num > 5) {
      // $numが5よりも大きい場合は、以下のメッセージを表示させる
      echo "$num is greater than 5";
   }
?>

この処理が実行されると「$num is greater than 5」というメッセージが表示されます。if文で記述することで、「登録したら確認メールを送る」「18歳以上なら専用ページを表示させる」などの動的機能を実装できます。

if文はSNSやWebサイトにアクセスしたユーザーの行動によって、表示を変える機能に適した文法です。

for文を書いてみよう

for文とは、繰り返し同じ処理をおこなうときに使用する文法です。「1~100までの数字を1つずつ足していく」「0~10までの数字を縦に並べる」など、同じ処理を繰り返す場合、for文を活用すればシンプルな記述ができ作業効率も向上します。

0~10までの数字を縦に並べるためにif文を記述するコードの例は、以下の通りです。

<?php
   for($val=0; $val<= 10; $val++){
      echo $val. '<br/>';
   }
?>

以上の記述で実行すると、0~10までの数字が縦に並べられた状態で表示されます。

関数を使ってみよう

「PHP」における関数とは、命令のことです。関数を呼び出すことで、必要な値や結果が簡単に取得できます。たとえば、WordPressの「テンプレートタグ」は、関数を使うことで簡単に使えるようになっています。

関数で「2023年2月7日(火)」の曜日を取得するコードの例は、以下の通りです。

<?php
   //関数を定義 3文字のテキスト形式Mon~Sun
   function the_day_of_the_week(){
      echo date ('D').<br/>/n";
   }
   //関数を呼び出す
   the_day_of_the_week();
?>

以上の記述で実行すると、「Tue」という結果が表示されます。

PHPの将来性

PHPの将来性

「PHP」は人気やニーズが高いため、今後も需要が高いことが予想されます。世界中で人気のWebサービスや、現在開発されているWebサービスの多くで「PHP」が使われており、Webサービスを開発する上では欠かせないプログラミング言語の1つだからです。

また、シンプルな記述で学習教材や情報も多くあることから、プログラミング初心者でも比較的学習しやすい特徴があります。そのため、これからプログラミングを身につけたいと考えている方や、フリーランスエンジニアとして活動したいと考えている方は、「PHP」の学習がおすすめです。

PHPを学習する方法

PHPを学習する方法

「PHP」は、主に以下の3つの方法で学習できます。

  • 書籍で学習する
  • スクールに通う
  • オンライン学習サービスを利用する

それぞれの学習方法を解説します。

書籍で学習する

「PHP」を学習する方法に、「PHP」やプログラミング学習向けの書籍での学習があります。
プログラミング学習の書籍は、初心者向けから上級者向けまで幅広く出版されており、1冊1,000円前後で購入できます。そのため、自分のスキルや知識に合わせて利用すれば、経済的な負担をそれほどかけず「PHP」の学習が可能です。

しかし、書籍に記載されている情報だけで理解できない場合は、1人で問題を解決することは難しいでしょう。そのような場合は、書籍だけでなく、スクールやオンライン学習を併用するとより効果的に学習できます。

スクールに通う

プログラミング言語を学べるプログラミングスクールに通うことでも、「PHP」のスキルと知識を身につけられます。近年、プログラミングを身につけたいと考えている方は増えているため、スクールの数も増えており、自分に合ったスクールを見つけやすいです。

スクールではプロの講師から直接学べるため、わからない部分や理解できない部分が出てきてもすぐに質問できます。オンラインで学べるスクールもあるため、仕事や家事が忙しい方でもスキマ時間を活用して学習できます。しかし、書籍などと比べると費用は高くなるため、注意してください。

オンライン学習サービスを利用する

オンライン学習サービスを利用して、「PHP」を学習する方法もあります。オンライン学習サービスは、初心者から上級者まで幅広い学習教材が用意されており、自分が学習したいタイミングで効率的に学習することが可能です。さらに、動画教材やテキスト教材などが幅広く用意されているため、自分にあった学び方も選べます。

Udemyのような動画買い切り型のサービスであれば、1度の視聴で理解できなくても、何度もわからないポイントを確認することが可能です。そのため、「PHP」の学習を始める方は、オンライン学習サービスの利用を検討してみるのもよいでしょう。

PHPを学んでCMSのカスタマイズやWeb開発をしよう!

PHPを学んでCMSのカスタマイズやWeb開発をしよう!

「PHP」は、世界中のWebサービス開発で利用されており、今後も高い人気とニーズが続くと予想さるプログラミング言語です。さらに、プログラミング初心者でもコードが覚えやすく、案件も獲得しやすいという特徴があります。

また、「PHP」は書籍で学習する以外にも、スクールやオンライン学習なども用意されています。本記事を参考に、自分にあった「PHP」の学習方法を探して、習得をめざしてみてください。

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